恐怖の2時間18分
1979年3月28日、ペンシルバニア州に位置するサスケハナ川中州に存在するスリーマイル島で発生した事故は多くの問題が複雑に重なり合って発生した。原子炉の炉心崩壊という問題と放射能漏れである。実際には問題自体はそれほど大きくはなかったのだが、ここで問題視されるのはこの数多くの小さな問題が重なりあうことによって引き起こされた事故と、放射能漏れの影響によるパニックである。スリーマイル島。この事故の事は本書を読むまではあまり理解していなかったのだが、何故かその名前だけは強烈に覚えていた。おそらく放射能漏れの影響によるマスコミの報道が日本にも渡っていた為だと思う。本書の良い所は表面的な問題ではなく、問題の発生を時系列に事実に基づいて解説する事により、その問題を個人のミスと断定せずに電力会社、原子炉の製造メーカー、管理システムが及ぼす作業員への影響までをも考慮しているという事であろう。そしてあいまいな情報は一旦メディアに渡ると悲惨なまでのパニックを起こしえるという事ではないのだろうか。
かの有名な「零戦燃ゆ」の作者、柳田邦男氏の著作である。
まあ、私的に氏の作品で好きなのは「零式艦上戦闘機」だけど。「零戦燃ゆ」はその名の通り零戦のデビュー(日中戦争)から零戦の終わり(太平洋戦争)までを一つのドラマとして書いているのだけど、「零式艦上戦闘機」は海軍からの発注から、三菱重工が設計、製作までを描き、零戦が中国戦線で初陣を飾るところで終わっているのが実によい。
ちなみに「零戦燃ゆ」は映画化されて、撮影の為に実物大の機体が作られた筈なんだけどあの機体は何処に行ったのだろうか…