陽はまた昇る
自分でも気が付かないうちに何時の間にか文庫本が増えてしまいました。で、なんか整理していると同じ本が2冊もありまして… 今回紹介するのがこれなんですが。確か他の人に貸してしまって戻ってこなくなってしまったので仕方なく買い直したのですが・・・ ううむ。で、内容ですが皆さんもご存知の通りソニーVSビクターで主導権争いをした家庭用ビデオレコーダー規格「ベータ」と「VHS」です。そんなお話。プロジェクトX 第2話。
この本は「VHS」陣営というかビクターを主眼を置いて書かれている訳ですが何よりも元々が新聞記者の過去のソースを元にしているだけに情報の多さという点で非常に満足できます。映画化もされてますが… ( 映画ほうは、見た人間から一言いうと、ちゃんと実名でやったほうが面白かったんじゃないのかな、と… )
ソニー、松下、ビクターと3社のクロスライセンスによって開発可能になった業務用ビデオは、その後家庭用にはスムーズに流れずに3社三様独自な規格で作っちゃう訳ですね。いきなりクロスライセンスの弊害も噴出する訳ですな… で、兎に角画質とか大きさ、先行リリースする事にこだわったベータ、家庭用に必要な機能のリサーチから始まったVHSで明暗が分かれちゃったり。実質的な止めを刺したのは松下なんですけどネ。そんなお互いの紆余曲折な物語が楽しめる訳です。
まあ、この本の唯一の難点は読んでて疲れるかも?視点はVHSなのですがちゃんとベータとの利点というかVHS側の弱点も理解されて書かれているのが非常によいかな。
ここまで書いていると何となく分かるかもしれませんが、技術系の話とか好きじゃない人はお勧めしません。あと政治工作とか嫌いな人も向かないかもしれません。そんなちょっぴり痛い大人な人向け(?)な本かな、と。今回はあまり人には勧めないようなそんな本の紹介でした。