闘う医魂・北里柴三郎
本書は大きく2つに分かれており、表題である「闘う医魂」と「正丸峠の帝王切開」である。「闘う医魂」は副題の通り北里柴三郎を扱っており、「正丸峠の帝王切開」は伊古田純道と岡部均平という2人の医者を扱っている。最初の「闘う医魂」は、伝研の移管問題とを起点として東大医学部と北里派の確執を描いており、次の「正丸峠の帝王切開」は江戸時代末期、オランダの学問書の和訳だけを頼りに独力で日本初の帝王切開を行った2人の医者の話である。どちらも小説形式で書かれており専門的な話も殆ど無く普通に読めるのが何より良い。そして先見の明を持ちつつもお互いに困難に直面しながら無事に目的を果たすところがまた良いと思う。