地球温暖化や循環型社会プロジェクトの成果報告3件
何か立て続けにニュースがあったので、ここにメモ。すべて大規模プロジェクトの成果報告(って、IPCCは桁違いだけど)。
- IPCC第4次報告書がちょっとずつ公開されてきている。まだ始めの方しか公開されていないけど、5月頭には全て出揃うっぽい。WG Iの簡単なSummaryについては、安井先生が早速コメントしてた。
- 物質・材料研究機構が「2050年までに世界的な資源制約の壁」というプレスリリース(2月15日)。金、銀、鉛、錫の累積使用量は2020年の時点で現有埋蔵量を超えるらしい。資源が比較的豊富とみなされている鉄や白金も、2050年までには白金は現有埋蔵量を超過、鉄も匹敵とか。
- 国立環境研究所が「脱温暖化2050プロジェクト」の成果の中間報告をプレスリリース(2月15日)。生活水準を維持したまま、日本が2050年までにCO2を70%削減することは可能、とか。
IPCCは、一番興味のあるWGの報告がまだなので、後回し。残りの2つだけコメント。
物材機構のプレスリリース。エコロジカル・フットプリントにしろ他の研究にしろ、最近の循環型は、エネルギーや地球温暖化を指標として議論しているものがほとんど。でも、物材機構のプレスリリースのように、鉄のような基本的な物質がなくなったらエネルギーがあっても社会は成立しない。循環型社会を真面目に考えるのならば、CだけではなくてFeとかの循環も評価する必要があるのかも。
脱温暖化2050プロジェクトの中間報告。概要を引用すると以下の通り。
本成果報告は「我が国が、2050年までに主要な温室効果ガスであるCO2を70%削減し、豊かで質の高い低炭素社会を構築することは可能である」と結論づけています。
「脱温暖化2050プロジェクト」は、技術イノベーションと住みやすい街づくり等社会そのものを変革するような社会イノベーションを織り込んだ2050年の望ましい将来を想定し、それを実現するための道筋を考える、いわゆる「バックキャスティング」に基づいたシナリオアプローチを採用し、まず、2050年における我が国の削減ポテンシャルを推測しています。
とか。「豊かで質の高い」というのが抽象的だけど、おそらく生活水準をある程度維持して、2050年までに70%のCO2排出量を削減できると考えてよいだろう。昔から、マクロなエネルギーモデルはいろいろあって、こういうシナリオならば(エネルギー供給のうち何%はバイオマス、何%は水力、といったような)CO2は何年までに何%削減できる、っていうのはあった。でも、世界全体のエネルギー需給は分かっても、そのときに人間は具体的にどんな生活を送ることになるのか、っていうことについて全く解を出していなかった。しかし、「脱温暖化2050プロジェクト」は確かボトムアップの視点も含んでいたはず。CO2を70%削減した社会が、具体的にどういう社会なのか、気になる。暇を見てレポートを読んでいかなくちゃ。
2007/02/18 03:04:37
本当に追記。脱温暖化2050プロジェクトについては、安井先生が早速「今月の環境」で取り上げていました。まだ中については精査していないみたいだけど。というか、俺こそちゃんと読まなきゃ。
2007/02/21 00:20:26
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鉱物資源については石化燃料以上に深刻な問題のようでつね… 最新のIT機器に使用されている部品には金や銅、他にレアメタルが必須なようでつが発展途上の中国とかが経済成長していくと今まで以上に物資が必要になるとか。しかも中国は人力で世界各地から廃棄になったIT機器を分解して回収しているようで資源の無い日本は益々不利になる予感。でも、かなり有毒なモノを無知識で作業しているのでかなりの環境汚染になっているようでつが。まあ、緑化といって緑色のペンキを地面に塗っている国でつからねぇ… 同じ費用かけるなら真面目に植林しろと。
中国の「緑化」のニュースは至る所で失笑を禁じ得ない話だね。当の中国国内でもそのようだし。
ちなみに、鉱物資源。家電や情報機器は、今は、経済性から、途上国に廃棄物同然で輸出して、途上国側でリサイクルがおこなわれています。でも、鉱物資源が有限であることを考えたら、実は、リサイクルして使用できる資源をただ同然で輸出しているともいえ、国内の資源セキュリティを考えると、長期的には由々しき問題かと。GiGantさんが言うよう、ますます不利になると考えるのが自然かと。
日本の環境問題の研究者は一般にグローバルに物事を考えているけど、こういった国家の資源セキュリティを考える研究も日本にとっては必要なんじゃないかな、と思ったり。産総研とか経済産業研究所とかで、そういったことは研究されているのかなあ? 経産省管轄の研究機関といえばこの2つくらいだろうし。真面目に不安だったりする。