地域の循環

この前の阪大のシンポを聴いて以来、持続可能性ってどうやって定義すればいいのか、研究すればいいのか、ずっと考えていたりする。相変わらず研究はしていないんだけど……。

残念ながら、東大を中心とするサステイナビリティ・サイエンスは、アジアとの連携を打ち出すことをメインにしてしまっている感があり(本来「連携」は手段のはずなのに)、研究としては自分が考えるのとちょっと方向性が違う気がする。

世界が持続可能であるにはどうすればよいのか。以前書いたように、各地域が持続可能であれば、最終的に国単位、そして世界が持続可能になるんじゃないかな、と思う。つまり、世界の各地域を持続可能にすれば、世界全体も持続可能にできるんじゃないかな、と。そもそも、いきなり世界を考えるのは壮大すぎて、とても手に負えない。世界全体だと、マクロな折れ線グラフを見て、省エネルギーを10%進めればいいとか、あまりにも漠としたことしか言えない。

じゃあ、地域に関して持続可能性を評価した研究ってあるのか、というと、ないような気がする。地域全体でで物質が循環していれば持続可能って言えると思う。でも、物質循環の研究はまだあまりなされていない。確かに、物質フローの研究は、環境研の森口さんを中心に進められているとは思うけど、それはあくまでも産業ベースの物質フローであって、CO2が森林に吸収されたり、Nが作物に吸収されたり、そういった理学的な考察はなされていない。

もちろん、産業ベースでの物質フローを追いかけるのですら大変なのだから、理学的な循環を捉えるのはさらに大変だろう。そこで、地域を限定して研究したい。でも、東京や大阪だと他地域との物質の移出入が大きすぎて、やはり手に負えない。手始めに、小さな島とかを対象に研究してみたいんだけど、果てさてどうなることやら。

2006/12/28 01:41:29

てな、話を上司にしてみたら、それなりの感触。

加えて、地域活性化のような話も評価したら面白いんじゃないかな、と言われた。確かに、環境最優先にすれば、簡単に解は出てくるわけだし。

実は地域活性化の話も面白いような気がする。従来は、産業を興して、人を集めて、街を活性化させて、という流れだったと思う。でも、これからは少子化、人口減。人を増やさずに(むしろ人が減っても)地域が活性化、ということを考えていく必要があると思う。人口が減れば、環境負荷も減るだろうし。人口減少下での地域活性化策を提案できれば、今までと違って、地域の活性化と環境排出総量の削減が両立しそう。もちろん、今のところ、言っているだけで、具体的に案があるわけではないけど、ちゃんと研究してみたいかも。

2006/12/28 01:50:12

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コメント(4)

爆烈 ぎがんと :

うーん、相変わらずNGEさんの話題は難しい話でつね… ざっと読んだ感じは無限リサイクル?のことか!? とか思えたり…

とりあえず地方の活性化はNGEさんがGALゲーシナリオを作れば、今の萌えブームに便乗できるかも?

んげ :

このブログは、特に意識して書いたエントリーを除けば、備忘録の乗りなんで分かりにくいかも。どの辺が分かりにくいか教えてもらえれば、適宜、解説を加えます。

ちなみに、サステイナビリティ(sustainability)とは持続可能性のこと。ある地域が持続可能になるには、すべての物質が循環する必要があるんじゃないかな、って思っています。いわゆる金属資源やプラスチックのリサイクルだけではなくて、排出したCO2は森林が吸収して、その森林をバイオマスエネルギー利用して、また森林が吸収する、といった部分も含めて。つまり、GiGantさんのいう無限リサイクルですね。

さてさて、地方の活性化は特にまだ案はないです。ただ、確かに最近は政府も萌えブームに便乗するくらい(Myメイドバッグとか)だから、何か使えるかもね。機を見て、考えてみたいね。でも、ギャルゲー作るとかは、俺の手には負えないような……。

爆烈 ぎがんと :

何気にmixiの雑誌レビューを見ていたらこんなものが。
http://www.nippo.co.jp/rd/
まあ、大学とかで研究してたなら普通に知ってるかも知れませんが。
そんな事言ってる私の方が廃棄物なのカモ?

んげ :

「循環型社会に関する研究」の難しい点は、他の研究の看板を掛け替えたに過ぎないところが多すぎることにあると思っています。

一番多いのが、廃棄物研究を称して、循環型社会に関する研究、と言っているところ。最近、地方行政も、廃棄物○○課を循環型社会○○課に衣替えしているところが多いのですが、やっていることは、廃棄物処理がメイン、せいぜいリサイクルとかリユースとかの推進。

もちろん静脈型産業を構築して、製品の物質的なリサイクルを推進することは、循環型社会にとって必要なことなのですが、それだけでは持続可能な社会にはほど遠いような気がするわけです。持続可能な社会における製品リサイクルの位置付けも未だ定量的にはおこなわれていないし。

なんてそんなことを言っている俺の方が持続不可能なのかも?(汗)

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このページは、NGEが2006年12月28日 01:41に書いたブログ記事です。

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